主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-③
母とは
百鬼夜行とは、悪行を成し、欲望のままに罪もない人を食ったり暴れ回る妖を粛清するために行われる。
同じ妖同士がこうして対立する形となるため、百鬼夜行を率いる主さまは度々命を狙われるが、まさに鬼神の如く強いためかすり傷ひとつ負ったことがない。
本来の家業は、始祖の時代に遡る。
鬼八という男を今まで何百年、何千年の間封じ込めるために家は存続し続け、その技は一子相伝として伝えられたがーー
「朔ちゃん、輝ちゃんは私が見てるから雪ちゃんにお勉強教えてもらっておいで」
「はい」
聞き分けが良く滅多にわがままを言わない朔が少しまごまごしていたので、甘えたいのだなと悟った息吹が朔をぎゅうっと抱きしめる。
「ふふっ、母様痛いです」
「朔ちゃんにぎゅってされたいなー」
お返しとばかりにまだ小さな朔に力いっぱい抱きしめられて、よもやそんな力があるのかと思うほど強かったため息吹は目を見張った。
「朔ちゃん!力すごいね!」
「半分は鬼の血が流れてますから。行って来ます」
庭には竹刀を持った雪男が朔を待っていた。
思想、剣術などほぼ全ての勉学を雪男に教わっている朔はとても雪男に懐いていた。
逆に輝夜は勉学は好きだったが剣術は嫌いで、だが雪男からは朔と同じくらい剣の才能があると太鼓判を押されている。
「輝ちゃん、母様とお買い物に行こうか」
「はい。母様、甘味処に行きたいです」
「甘いもの好きは私に似たのかな?いいよ行こうっ」
幼い子たちと愛した男と、頼り甲斐のある雪男たちに囲まれた生活は最近ようやく穏やかなものとなった。
一子相伝の家ーーこの家は朔が継ぐ。
輝夜はあまり家業に興味がなく、もっぱら朔のする事なす事を見ていることが多い。
主さまの一族は子をひとりしか設けなかったためふたり目に恵まれた時は周囲がざわついたが、主さまも息吹も子の誕生にたいそう喜んだ。
「もっともっと欲しいな」
この屋敷が笑い声に包まれる位賑やかになるように。
同じ妖同士がこうして対立する形となるため、百鬼夜行を率いる主さまは度々命を狙われるが、まさに鬼神の如く強いためかすり傷ひとつ負ったことがない。
本来の家業は、始祖の時代に遡る。
鬼八という男を今まで何百年、何千年の間封じ込めるために家は存続し続け、その技は一子相伝として伝えられたがーー
「朔ちゃん、輝ちゃんは私が見てるから雪ちゃんにお勉強教えてもらっておいで」
「はい」
聞き分けが良く滅多にわがままを言わない朔が少しまごまごしていたので、甘えたいのだなと悟った息吹が朔をぎゅうっと抱きしめる。
「ふふっ、母様痛いです」
「朔ちゃんにぎゅってされたいなー」
お返しとばかりにまだ小さな朔に力いっぱい抱きしめられて、よもやそんな力があるのかと思うほど強かったため息吹は目を見張った。
「朔ちゃん!力すごいね!」
「半分は鬼の血が流れてますから。行って来ます」
庭には竹刀を持った雪男が朔を待っていた。
思想、剣術などほぼ全ての勉学を雪男に教わっている朔はとても雪男に懐いていた。
逆に輝夜は勉学は好きだったが剣術は嫌いで、だが雪男からは朔と同じくらい剣の才能があると太鼓判を押されている。
「輝ちゃん、母様とお買い物に行こうか」
「はい。母様、甘味処に行きたいです」
「甘いもの好きは私に似たのかな?いいよ行こうっ」
幼い子たちと愛した男と、頼り甲斐のある雪男たちに囲まれた生活は最近ようやく穏やかなものとなった。
一子相伝の家ーーこの家は朔が継ぐ。
輝夜はあまり家業に興味がなく、もっぱら朔のする事なす事を見ていることが多い。
主さまの一族は子をひとりしか設けなかったためふたり目に恵まれた時は周囲がざわついたが、主さまも息吹も子の誕生にたいそう喜んだ。
「もっともっと欲しいな」
この屋敷が笑い声に包まれる位賑やかになるように。