甘いチョコとビターな彼
2月1日
「……むふふっ」
冷たい風が頬を撫でつける、2月1日。
今年やっと完備された暖房が教室の空気を温めてくれるなか、私は無意識に笑みを零した。
「急に笑って……怖いよ」
目の前に座って訝しげな顔で私を見てくるのは友達のナルちゃん。
「だってもうすぐ来るんだもん!」
「何が?」
「そりゃあもちろん…っ」
興奮気味に言葉を続けようとしたその時、私たちの所に駆け寄ってくるクラスの女子が目に入った。
「2人とも、これあげるー!」
広げた手の中に現れたのは、透明の包みに入ったチョコレート。
「あ、チョコレートだ!ありがとぉ!」
「あははっ、どーいたしまして!」
戻って行く彼女の背を見届けた後、私は早速
貰ったチョコレートの包みをはがして口に入れる。
「…んん〜、美味し〜い!」
頬に手を当ててチョコレートを味わう私を見ると、ナルちゃんは思い出したように口を開いた。
「あ、そっか。もうすぐバレンタインだったね」