甘いチョコとビターな彼
「いいじゃんいいじゃん。私たち、もう友達なんだし!」
「いつから俺はお前の友達だと認定されたんだ」
「んー?会った時から!」
「疲れる」
「ねぇねぇ、いつの話?」
「……中学生の時だよ」
「中学生かー。そっか、チョコくんもその頃はまだ可愛い男の子だったんだねぇ」
「……色々ツッコミたいけど、疲れるからやめる」
「でもなんで、友達がいたことがあるなら……昨日、友達なんてめんどくさいって言ったの?」
『…友達なんて、めんどくさいだけだ』
そう言った彼の、苦々しい顔を覚えている。
『もしかしたらその子は前に何か、友人関係で嫌な思いをしたんじゃないのかな?』
お姉ちゃんのあの言葉が、本当なんじゃないかと思えてくる。
「別に……理由なんてない」
「!!」
精一杯の嘘をつくように、けれど少し悲しそうに、
そんな複雑な彼の表情を、私はもう見たことがある。
『…...チョコなんて、美味くないんだよ』
彼と出会った最初の時、同じ表情でそう言い放って彼は教室を出て行った。
もしかして……、
「チョコを嫌いなことと、関係があるの…?」
「っ!!」