甘いチョコとビターな彼
「お前、なんで……」
「だってチョコくん、最初に会った時と同じ顔してる」
「っ、」
「……ねぇ、何があったのか教えてよ」
「なんでお前に…」
「知りたいから」
何がチョコくんにそんな顔をさせているのか。
どうして友達をつくらないのか。
どうしてチョコが嫌いなのか。
どうして自分の家がチョコレートの専門店だということを知られたくないのか。
全ての不思議が、彼の話を聞くことで噛み合う気がする。
好奇心なんてものじゃない。
けれど無性に、それぞれの歯車を繋げ合わせてみたくなった。
まっすぐに彼を見つめれば、少しのあと彼は観念したようにため息をついて。
「そんなに気持ちのいい話じゃない……」
ゆっくりと彼の、心の声が流れてきた。