甘いチョコとビターな彼
「えっ!?だ、だめだめだめっ!!」
慌てて静止をかけると、ナルちゃんは不思議そうな顔で私を見てくる。
「だって、あのお店のチョコレート、ほんとに高いんだよ!
それに、毎年ナルちゃんが作ってくれるチョコレートのお菓子、私いつも楽しみにしてるんだから!
だから今年のバレンタインも手作りでお願いします!」
なぜか最後はお願いモードになってしまった私の言葉を受けると、ナルちゃんは吹き出してしまった。
「あははっ!了解、そんなに言ってくれるなら今年も手作りにするよ」
「うんっ、楽しみにしてる!」
「ふふっ……あ、もうすぐ昼休み終わりそうだね」
ナルちゃんの視線を追って時計を見ると、針は次の授業まであと15分の場所を指していた。
「あ、私、飲み物買いに行こうと思ってたんだった!」
「そうなの?今ならまだ間に合うよ」
「うん、ちょっと行ってくるねー」
「いってらっしゃーい」
私はナルちゃんに見送られながら、教室をあとにした。