甘いチョコとビターな彼
「とにかく!あんな無愛想でも去年凄い数のチョコをもらったの!それが破壊力の塊の笑顔なんて見せるようになったんだから、今年はどうなると思う!?」
「え、えっと……もっと凄いいっぱいチョコをもらう?」
「そう!そーゆーこと!この数日であの笑顔を好きになった女子は沢山いるはず……」
「そっかぁ…」
もっとモテちゃうんだろうな、って思ってたけど、こうやって目の当たりにするとさすがにキツいなぁ……。
自分の気持ちも伝えていないくせに、1人前にヤキモチだけは妬いてしまう。
こんな自分、嫌だな……。
「でも今年も多分、去年と一緒なんだろうね」
「去年?」
「知らないの?去年の猪口くん、チョコと一緒に告白された数も多いんだよ。でも結果は女子たちの惨敗。
チョコだけはもらってたみたいだけど、結局バレンタインが過ぎたらあの人との関わりなんてなくなるんだろうね」
「バレンタインが過ぎたら……」
「あ、でも梓は大丈夫だよねー。猪口くんと友達だし」
「ううん……」
「え?」
友達だけど、そうじゃない。