政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
そのまま、ぐいっと引き寄せられ、将吾さんの腕の中に入ってしまった。
彼のつける香水はウッディ系の爽やかな香りがミドルノートのはずなのに、今はなぜかバニラのような優しい甘い香りの方を強く感じる。
この香りがラストノートなのだろうか?
「……ったく、見合いのときは完全無視だし、うちの会社に出向してきたときも専属秘書でなくてもいいって言うし、なんだか時々、茂樹のことをぼんやり見てるし」
わたしを抱きしめる腕に、力が込められる。
「……おれに興味がないのなら、なんであんなキスをするんだ?」