政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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終業後、気が重いまま、いつものように副社長のプライベートルームへ入る。

カードキーで解錠してドアを開いたとたん、副社長……将吾さんから腕を持たれてぐいっ、と中へ引っ張り込まれた。

すぐさま抱きしめられて、くちびるを塞がれる。そして、息ができないほどの、激しいキスに(さら)された。

まるで、今の将吾さんの気持ちをぶつけてくるような、そんなくちづけだった。
わたしも彼の思いに応えようとしたけれど、だんだん頭がくらくらしてきた……酸欠だ。

「……ぅんはっ」

わたしはなんとかくちびるをずらして、金魚のように、ぱくっ、と息を吸う。

将吾さんはわたしを離れさせないようにがっちりホールドして、腕に込めた力を緩めない。
片手でわたしのシニヨンにした髪を乱暴に解き、ばらばらっと背中に降らせる。

将吾さんのくちびるが離れた。
さすがに彼の息も上がっていた。

そして、ライオンのように広がったわたしの髪を、両手で荒々しく搔き上げ、

「……おれと、こんなキスができるってのに」

そう言って、わたしのヘイゼルの瞳をせつなげに見つめた。

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