政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「だったら……過去に……酷いこと、されたとか?」
将吾さんが真っ暗な夜道を、手探りで歩むような感じで尋ねる。
「違う。過去に枕を並べた人たちの名誉のためにも言うけど……」
わたしは必死になって言った。
「……すべて、合意の上の同意だったからっ」
すると、将吾さんから、すーっと表情が消えた。
「過去に枕を並べた人たち……?」
彼の顳顬に血管が浮き出ている。
「えっ…あっ…その……」
……もしかして、地雷踏んじゃった?
今、非常にマズい事態に陥っちゃったと思う。
このあと、きっと、大音声で怒鳴られる……
わたしは、目を伏せて、耳を塞ごうとした。