政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「だったら……過去に……酷いこと、されたとか?」

将吾さんが真っ暗な夜道を、手探りで歩むような感じで尋ねる。

「違う。過去に枕を並べた人たちの名誉のためにも言うけど……」

わたしは必死になって言った。

「……すべて、合意の上の同意だったからっ」

すると、将吾さんから、すーっと表情が消えた。

「過去に枕を並べた人たち……?」

彼の顳顬(こめかみ)に血管が浮き出ている。

「えっ…あっ…その……」

……もしかして、地雷踏んじゃった?

今、非常にマズい事態に陥っちゃったと思う。
このあと、きっと、大音声(だいおんじょう)で怒鳴られる……

わたしは、目を伏せて、耳を塞ごうとした。

< 155 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop