政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
ところが、将吾さんはいっさい、声を荒げたりはしなかった。
「過去のそいつらが、おまえとセックスできたのに……」
ただ、自嘲気味に、ポツッとつぶやいただけだった。
「……夫になるおれは、おまえとセックスできないんだな」
わたしは伏せていた目を上げた。
将吾さんは片方の口角を上げて笑っていたが、その瞳はブリザードなくらい冷たい色を湛えていた。そして、虚ろで、寂しげにも見えた。
その瞬間、わたしは悟った。
……あ、もう、ダメだな。
男の人がこういう目をするときは……わたしとの未来がないときだ。