政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
Chapter 7
♡破談の危機なのに結納やってます♡
結納の日がやってきた。
わたしはお見合いで着ていた大振袖を纏った。
菖蒲色の地に花薬玉や御所車などの吉祥文様が、大胆に施されたものだ。
初めて会ったとき、将吾さんはその姿を『キャバ嬢の初詣』と宣った。
たけど、弟の目から見ても『フツーに付き合ってフツーに婚約したように見えた』日には、
『あの着物、おまえになかなか似合ってたぞ』
と言ってくれた着物だ。
わたしは今日、将吾さんから最後通牒を突きつけられることを覚悟してやってきた。
この着物はその覚悟の現れだ。
憐れなわたしの両親は、まだそのことを知らないけれど……
朝比奈の家に生まれ、なに不自由なく育ててもらったにもかかわらず、政略結婚一つまともにできない不出来な娘でごめんね、と心の中で詫びる。
わたしと両親は、ホテルでの結納のために取ってある部屋へ入った。