政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
♡彼に夜這いをかけられてます♡
わたしは固まった。
お風呂に入った直後でどすっぴんである。
髪はライオンの鬣のように広がっている。
おまけに、わたしは寝る時はノーブラ派なので、フリース地で透けることはないとはいえ、やはり胸元が落ち着かない。
しかも、ユニクロだったっ!
「な…なんか用?」
わたしの声はテンパって上擦っていた。
「用がないと婚約者の部屋には来ちゃいけないのか?」
部屋に入った将吾さんが近づいてくる。
彼もお風呂に入ったのであろう、スウェットの上下というラフさだった。
わたしが将吾さんに「提案」して以来、ずっと「初心に返って」よそよそしい関係になっていたので、妙に気まずい。
わたしは思わず、後ずさりする。
「逃げるな……彩乃」
将吾さんの手が伸びてきた。
肩をつかまれ、ぐいっ、と引き寄せられる。
次の瞬間には、もう……将吾さんの腕の中にいた。