政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「……彩乃、うちに住むために来たってことは、おれのものになる気になったってことだろ?」
将吾さんはわたしの質問に答えることなく、とうとう、のしかかってきた。
彼の身体の重みがわたしの身体に伝わる。
「とっとと、おれのものになれ」
将吾さんの声が耳元から聞こえる。
思わず、ぞくり、となる。
「……おまえ、痩せただろ?」
あら、今朝まで一緒に暮らしてきた両親も弟も、まったく気づいてなかったのに。
実は、結納のあとの食事会だけじゃなくて、ここのところ、なんだか食欲がなかったのだ。
痩せたといっても、二キロくらいのものだが。
「もう痩せるなよ。これ以上、この胸がささやかになられると困る」
将吾さんにのしかかられてるので、服を通して互いの胸が密着していた。
……そっちかっ!寄せて上げて、トリンプだったらCカップなのにっ!!
「あーっ!」
わたしは思わず声をあげた。
……ノーブラだったっ!
寄せて上げてのトリンプを着けていなかったっ!一生の不覚だっ!!
「……おまえ、もうちょっと色っぽい声出せよ」
将吾さんは呆れた声でつぶやき、わたしのくちびるを自分のくちびるで塞いだ。
わたしたちが「初心に返って」よそよそしくなってしまった直前、会社のプライベートルームでして以来のキスだった。