政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
♡突然の辞令で彼の会社へ出向します♡
週明けの月曜日、丸の内にある会社に出勤すると、わたしに辞令が出ていた。
【本社 総務部秘書課 朝比奈 彩乃
十二月一日付で、TOMITAホールディングス 本社 秘書室への出向を命ずる】
いくらなんでも、会ったのがたった一回で結婚させるなんて、戦前の封建社会か!?と、さすがに両家の親たちも良心を痛めたのであろう。
……ま、うちの両親は、わたしがまさか承諾するとは思ってなかったようだが。
そもそも、父親も母親も、わたしをなにがなんでも政略結婚させようとは思っていない。
自分たちがそうで、たまたまうまくいったから良かったものの、周囲で冷え切った夫婦をよく見聞きしていたからだ。
だから、今回の件は、決して両親の無理強いではない。むしろ、本当にそれでいいのか?と何度も念を押された。
この婚約は、わたし自身が決めたことだ。
こうして、婚約が決まった以上、向こうが仕事が忙しくて時間が取れないというのなら、わたしを彼の仕事場に出向かせて、少しでも二人の時間をつくらせよう、ということらしい。
わたしたちの結婚は、双方のグループ会社の関係を将来にわたって密にできる、いわば「大型プロジェクト」だ。
なのに、いざ、結婚式!というときになって、
「やっぱりダメでした、性格の不一致です。婚約破棄します」
ってなったりなんかしたら、社会的に大ダメージを被る。