政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
ダメだ……やっぱり、このキスに弱い。
わたしは将吾さんの首の後ろに手を回した。
彼のキスがどんどん深くなり、わたしたちは久しぶりに相手の舌を存分に味わう。
自然と、わたしの片方の手が将吾さんの洗いたてのさらさらした髪をかき上げていた。
彼のくちびるがわたしの首筋へと移っていく。
「……んぅ……っ」
つい、艶めいた声が漏れる。
……まずい、まずい、まずい。
わたしの理性が脳内で警鐘を鳴らす。
将吾さんの大きな手のひらが、ユニクロのもふもふの上からわたしの胸のふくらみを包んだ。
「こ…これ以上進めたら、わたし、実家に帰ります」
「……はぁ?」
将吾さんが顔を上げる。でも、知ったこっちゃないとばかりにすぐに顔を下ろす。
「ど…『同棲』じゃないって言ったじゃん。親の前で。『同居』だったら、こんなことしないでしょ?」
将吾さんはわたしの声を無視して、鎖骨までくちびるを這わせる。もふもふの上からとはいえ、胸を揉み始めた。
「は…話が違うっ!か…帰るっ。うちに帰るっ!
帰る、帰る、帰るーっ!! 」
初めてのお泊まりをしてホームシックになった子どものように叫んでみた。
すると……
「うるさいっ、黙れ。近所迷惑だ。
おれが犯罪者みたいじゃないかっ」
いったんそう放ってくちびるを離れたかと思ったら、すぐにまた将吾さんのくちびるで塞がれる。