政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「……どう見ても、キスまではノリノリだろ?
なんでそのあとはダメなんだ?」
くちびるを離した将吾さんが怪訝な顔をする。
「江戸時代の花魁でも、カラダは開けるけど口を吸うのはイヤだっていうじゃないか」
……どんなたとえだ?でも、そう言っといてキスしてやれば、単純な客は舞い上がる、っていう娼婦の「手練手管」って説もあるけどね。
「なんか理由があるんだろ?……言えよ、彩乃」
わたしはぷいっ、と横を向く。
……言えるような理由なら、とっくの昔に言ってる。
「おれ、結構上手いって何人からも言われたぞ。
人工授精とか言う前に、一回、試してみろよ」
……どんな自慢だ?それに、エッチの「お試し」なんて、聞いたことないし。
それに、今まで何人とどんなことしてきたのよっ⁉︎ なんか、ムカつくっ!
拗ねてるみたいにしばらく黙ってみた。
将吾さんも、もうなにも言わなかった。
ただ、わたしに注がれる視線だけはがっつり感じる。