政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「亜湖、ほらっ、婚約指輪を見ろ!」
大地が亜湖さんの手を取って、左手薬指のリングをかざす。
「亜湖が気に入るのが見つかるまで、さんざん探しただろ?おれたちが入籍してることを思い出せっ!」
「……ヴァン・クリーフ&アーペルのフルーレット・ラージだな」
いくつかのダイヤモンドがお花みたいに見えるように配置されたリングを見て、将吾さんがつぶやいた。
……なんで、一目見てすぐにわかるの?
わたしは将吾さんを横目で鋭く見た。
「婚約指輪見たって、入籍は思い出さないと思うけど?」
亜湖さんが至極真っ当なことを言う。
「じゃあ、亜湖、結婚指輪を出せっ!
今すぐ、左手薬指にはめてやるっ!!」
そう言って、大地が亜湖さんの首のネックレスを引き出す。トップにリングが見えた。
「いやよっ!結婚式のときに大地から初めてはめてもらうんだからっ!! 」
「……同じくヴァンクリのエステルか」
リングの両側に細かなビーズがぐるりと一周していた。
……だから、なんで一目見てすぐわかるっ!?
わたしは将吾さんを横目で見る目に力を込めた。