政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
込み上げてくるものに耐えかねて、たまらず目線を逸らせると……視界の端に、強い視線を感じた。
その先をたどっていくと……海洋がいた。
最前列の海洋が五列目辺りにいたわたしを、まっすぐ見つめていた。
チャペル内にいる人たちすべてが今、聖書台の前の慶人と蓉子しか見ていないというのに……
なのに、この瞬間、海洋にはわたししか見えていなかった。
わたしは思わず、くすっ、と笑ってしまった。
海洋は相変わらずだった。
そのときに興味のあるもの以外は眼中にないのだ。
たとえ、それがたった一人の……あんなに美しい妹の結婚式であっても。