政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
わたしは呑んでいたグラスワインの赤がなくなったので、人を呼んだ。亜湖さんが飲んでいるのと同じものをお願いする。
彼女は乾杯の際のシャンパンを呑んだあとはビールが呑めないとかで、ソフトドリンクを飲んでいた。今はオレンジジュースを飲んでいる。
どうやら、あまりお酒が強くないらしい。
届いたオレンジジュースはつぶつぶ入りの果汁百パーセントで、味が濃くとっても美味しかった。
広い室内で空気が乾燥しているのか、喉が渇いていたので、わたしはくぅーっと一気に飲んだ。
隣の亜湖さんを見ると、今度はマンゴージュースを飲んでいた。わたしはまた人を呼び、同じものを所望して持ってきてもらった。
……あぁ、これも甘くて美味しい。
さすが、一流の老舗ホテルの果汁百パーセントジュースである。味が半端なく濃厚だ。
また隣の亜湖さんを見ると、今度は柚子ジュースを飲んでいた。
マンゴージュースはとっても美味しかったけれど、ちょっと口の中がねっとりしていた。
わたしはまた亜湖さんに便乗して、柚子ジュースを手に入れて飲んだ。
……あぁ、口の中がさっぱりさわやかだ。
そのとき、後方からなんか、不穏な気配を感じた。ふと窺うと、太陽と海洋がこちらに歩いてくるところだった。
わたしは、将吾さんに声をかけた。
「……ねぇ、慶人と蓉子に挨拶に行かない?」