政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

わたしたちは椅子から腰を上げた。
急に立ち上がったためか、わたしは少しふらついてしまった。マノロ・ブラニクの華奢なピンヒールのせいかもしれない。

すかさず、隣の将吾さんがわたしの腰に手を回して支えてくれる。こういうところは、さすが英国はケンブリッジ大学で学んだジェントルマンである。

「どうした?」

将吾さんがわたしの顔を覗き込む。

「……ちょっと、ふらついただけ。大丈夫」

わたしは将吾さんに微笑む。

急がねば、太陽と海洋がこのテーブルに到着する。太陽には悪いが、海洋とは顔を合わせたくないのだ。

わたしは将吾さんの手をとって、高砂席へと向かった。

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