政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

……あぁ、なんだか足元がふらつく。
顔も火照(ほて)って熱いし。なんでだろ?風邪かなぁ?

わたしは将吾さんから支えられるようにして、高砂席から離れた。

「水島の奥さんの婚約指輪は、ピアジェのローズだったな」

わたしの眉間にシワが寄る。

……なんで、一目見てすぐにわかるの?

蓉子のエンゲージリングは名前通り、薔薇の花びらをモチーフにダイヤモンドがふんだんに使われたゴージャスな指輪だった。

「結婚指輪は、ピアジェのポセションのフルエターナルだな」

わたしの眉間のシワが深ーくなる。

……だから、なんで一目見てすぐ(わか)るっ!?

かつて、それだけ女の人にブランド品の指輪(リング)をプレゼントしてきた、ってことじゃないのっ!?

……なんか、ムカつく、ムカつく、ムカつくっ!!

わたしは将吾さんが支えてくれていた腕をほどいた。

「どうした?」

将吾さんが(いぶか)しむ。

「ちょっと、お手洗いに行ってくるから先に戻ってて」

わたしは披露宴会場から外に出た。

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