政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「海洋も……だれかと幸せになって」

ぴったりと隙間なく重ねられた二人の身体(からだ)
海洋も、わたしの声が自分の中から聞こえてくるような気がするかな?

「……彩以外のだれと、幸せになれって言うんだ?」

あの頃にはなかった、(あふ)れんばかりの色気をたたえた漆黒の瞳が、せつなげに揺れている。

海洋の顔が近づいてきた。

軽く、彼のくちびるがわたしのくちびるに触れる。それを合図に、わたしたちはどちらともなく、深いくちづけに入っていった。

互いの息が途中で上がっているのがわかるほど、わたしたちは夢中で相手を求めた。
思わず搔き上げてしまう、海洋の少し硬めの漆黒の髪は、あの頃のままだった。

将吾さんが、お気に入りのキス。

……このキスは海洋が教えてくれたものだ。

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