政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「あの……島村室長ってお呼びすればいいですか?」
前を歩く彼に尋ねると、
「副社長夫人になられるんですから、呼び捨てでいいですよ。敬語も使わなくて結構です」
と、振り返りもせずに言われた。
……でも、そういうわけにはいかないでしょう?一応、出向している身なんだし。
困惑しているうちに、副社長室へ着いた。
島村さんがドアを開ける。
専属の秘書が待機する前室があった。
そのままつかつかと進んで行き、奥にある副社長の執務室へノックを三回して、ドアを開けた。
突然、抱き合っている男女の姿が目に入ってきた。
……副社長と大橋さんだった。