政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
母親の買い物が済んで、ラストオーダーぎりぎりの遅めのランチになった。
デパートの中に入っているフレンチのカフェだが、イートパラダイスの階ではなく、四階の婦人服のショップの奥にあった。
母のようなマダムが好みそうな上品で落ち着いた雰囲気で、実際「女子会」で幾度となく訪れているらしい。
父も母も、突然始まったわたしの将吾さんの実家での同居が気がかりだったらしく、母親はこまごましたことを、ここぞとばかりに訊いてきた。
……「あんなところ」を見なければ、もっと楽しく彼の実家での生活を話せたのに。
親に心配かけたくなくて、取り繕ってばかりいたので、せっかくの「フランス国家最優秀料理人賞」とかいうシェフの、初プロデュースとかいうカフェなのに、舌鼓を「達人」のごとく連打できなかった。
そんなわたしとは対照的に、将吾さんのおうちが型にとらわれない自由な家風だと知って安心した母親は、デザートとコーヒーまですっかり味わい尽くし、その後タクシーで帰って行った。
……さて、これからどうしましょう?