政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
でも、ごめんね。
わたしは、受けて立つ気はないの。
そんなことはね……もう、十年も前に「卒業」しているの。
あなたのその顔、鏡で見てごらん。
びっくりするくらい……醜いから。
だれかに嫉妬して憎んでる顔なんて、ほんと酷いから。
わたしはそんな顔を小学生の頃から別れるまで、ずっとしていたのよ。海洋に群がる女の子たちを、ずっとそんな目で見ていたの。
あなたのいいところが、素直で純真でやさしいところが……きっと、将吾さんが大好きな……あなたのそんなところが……
どんどん削がれていってしまうよ?
わたしは海洋に恋する自分がどんどんイヤな女になっていくのに、耐えられなくなったの……
わたしは、いつの間にか、彼女を憐れむような表情をしていたのかもしれない。
わかばちゃんは色をなして、わたしから目を逸らした。
わたしは自分の部屋に行くために、階段の方へ向かった。