政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
♡大地&亜湖さんの結婚式に行きます♡
二月下旬の大安吉日。
再従兄妹同士という遠縁とはいえ、兄妹のように幼い頃から仲良くしてきた上條 大地と、彼と同じ会社に勤務する田中 亜湖さんの結婚式と披露宴が、あさひJPNグループが新年のパーティで毎年使っている、わが国を代表する一流の老舗ホテルで開かれる。
結婚式は神前式ということで(大地は亜湖さんが白無垢姿が似合うから、と言っていたが、自分がチャペルで花嫁を待つ手持ち無沙汰な「マヌケな新郎」になりたくなかったからだと思う)今回は夕方の披露宴からの出席だ。
なので、セレクトショップで見つけたロイヤルブルーのセミイブニングドレスを着る。
ホルターネックで、身体のラインにぴったり沿ったマキシ丈のベルベットのドレスだ。
すでに髪を夜会巻きにセットしてもらっていて、今日はなかなかセクシーな感じになっている。
大学の同窓だった慶人の結婚式とは違い、大地とは交流のない将吾さんは来ない。
……どうせ、なにかと「ご多忙」でしょうしね?
将吾さんの家を出る前にパウダールームでチェックをしていたら、将吾さんが入ってきた。
「……その背中、開きすぎてやしないか?」
彼が顔を顰める。大きなお世話だ。
「ショールを羽織るから」
ウソだ。ホテルではショールなんて羽織らない。
背中は御開帳してやる。
……あっ、将吾さんのキスマーク、ついてないよね?
わたしは背中を鏡に映して確かめる。
「今日はおれがいないんだから、絶対に呑み過ぎるなよ」
将吾さんが、そう言ってわたしを後ろから抱きしめようとする。キスマークをつける気だ。
わたしは彼を振り払った。
「わかってる……遅れるから、もう行くね」