政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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そうこうしているうちに、タクシーは将吾さんの家の前に着いた。Suicaで支払いを済ませて、仕方なく降りて門の中へ入って行く。

セミイブニングドレスの上に、アクアスキュータムのファーのついた、カシミアのロングコートを羽織っているが、二月の夜風は身を切るように冷たい。

わたしは出迎えを避けるために、ハウスキーパーの静枝さんが気づかないほどひっそりと玄関に入り、そのまま自分の部屋へ向かった。

とりあえず……一旦、自分の部屋に入って落ち着こう。

今のわたしの気持ちとは裏腹な……ゴージャスなドレスやアクセサリーやピンヒールはさっさと脱ぎ捨てて……熱いシャワーでも浴びて……今夜は早く眠りにつこう。

……自分のベッドで。ひとりだけで。

そう思って、わたしは自分の部屋のドアを開けた。

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