政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
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次の日は日曜日だった。

海洋はマスタールームにすっ込んだまま、姿を見せない。きっと、爆睡街道をトラック野郎のようにまっしぐらに突っ走ってるに違いない。

大学生の頃から、前後期試験や実験のときに、すっごい集中力でがーっとやったあとは、すっごい集中力でずーっと眠っていた。
だから、起きてこなくても大丈夫。心配することはない。

わたしは海洋がいつ起きてもいいように、カレーをつくることにした。

松濤のおじいさまの計らいで、地下の駐車場にはマイナーチェンジする前の人気の高かったフォルクスワーゲンのゴルフRが常駐されている。
おじいさまにとっては「軽自動車」のような小型のハッチバックだが、わたしのような未熟な女性ドライバーが足代わりに使うのには最適だ。
もちろん、トランスミッションはオートマチックである。

コンシェルジュの彼にゴルフRのキーを預けると、エントランスの前まで回してくれる。

デパートの地下にあるスーパーまで行って、せっかく車で来たからまとまった量の食材を購入する。ワインも何本か仕入れてみた。

マンションに戻ったら、エントランスでコンシェルジュの彼にキーを預けると、地下の駐車場に入れてくれる。その間、ロビーのカッシーナと思われるソファで待つ。やがて、駐車場から戻ったコンシェルジュの彼が食材の入った紙袋をポーターのように部屋の前まで持ってきてくれた。

……うーん、マンション住まいって快適だなぁ。
破談が正式に決まったら、マンションを買って一人暮らししようかなぁ。
っていうか、このマンションがいいなぁ。

結婚に破れて傷心の顔でお願いしたら、さすがの松濤のおじいさまもここに住まわせてくれるかな?

我が朝比奈一族の決定権は、三男でありながら、声と態度がとてつもなくデカい松濤のおじいさまの手中にある。

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