政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
お通しは、あん肝とわかめのポン酢和えだった。
鮟鱇の肝が肉厚で、まるでフォアグラを食べているみたいだ。
お義母さまが「本日おすすめの『料理』をお願い」と三十代半ばの板さんに頼むと、シャンパン代わりの一杯目、新潟の八海山のスパークリングで乾杯する。
……実際は、これから乾杯するような幸せな話とは真逆の話をしなければならないのだけれど。
「あ…あのう……結婚式の引き出物の件なのですが」
わたしが話を切り出すと、
「あ、いいのよ。そんなのは、ただの口実だから」
お義母さまは、あっさりとおっしゃった。
「どうせ、うちのバカ息子がバカなことをやったんでしょ?」
ふふふ…と、婉然と微笑む。