政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

……ど、どうして⁉︎

それでなくても、世界がぐるぐるしてるっていうのに。

「……もう、我慢しないからな」

海洋が、わたしの耳元で低い声でつぶやいた。

そして、身を離したかと思うと、わたしをソファから抱き上げた。お姫さま抱っこだ。

「ちょっ……ちょっと、海洋!?」

焦ってじたばたするわたしに顧みず、海洋はマスタールームへと向かう。
彼が「寝室」として使っている部屋だ。

わたしをお姫さま抱っこしてるにもかかわらず、海洋は器用にマスタールームのドアを開ける。
わたしは無駄な抵抗をしたおかげで、ますますぐるぐるのカオスの世界だ。

部屋の中に入ると、海洋はわたしのワンピの背中のジッパーをシュッ、と下げた。
そして、すとんと、ワンピを床のラグに落とす。
キャミソールと下着だけの姿になった。

海洋はブランケットを(まく)って、わたしの身体(からだ)をダブルベッドに横たえた。
すぐさまわたしの身体を跨いで、すっぽりと覆った。

わたしの頬を両手で包み込み、

「……彩……好きだ。
アメリカに行っても、おまえのことは忘れられなかった」

熱を孕んで潤んだ、漆黒の瞳で見つめる。
あの頃にはなかった、大人の男としての色気が溢れんばかりに匂い立つ。

海洋の顔が近づいてくる。

わたしは……目を閉じた。

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