政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
海洋の「相手」は一人ではなかった。
少なくとも五人はいた。
……でも、わたしには、わかっていた。
そこに「心」はないことを……彼女たちがただの「サンプル」だ、ということを……
海洋がわたし以外なら「できるかどうか」を試していただけだったということを……
根っからの理系の彼が「仮説」を立てて「立証」していたに過ぎないことを……
……だけど、わたしにはわかっていた。
わたし以外の人となら、ちゃんとできていたことを……
わたしで「満足」できない海洋が、これからもいろんな女の人を抱く、ということを……
そのとき、わたしは決意した。
海洋を……「解放」してあげましょう、と。
だから、わたしは二十歳になる前に一世一代の恋を終わらせた。
そして、幼い頃から抱き続けてきた、
「海洋と結婚して、彼の子どもを産んで育てる」
というささやかな夢を……
……永遠に手放した。