政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
Chapter 12
♡雨降って、地固まってます♡
わたしと将吾は、週明けの月曜日の朝まで、外苑前のタワーマンションで二人きりでまったりと過ごし、南青山の会社へ出勤した。
念願のわたしがつくった「濃いめの味の豚の生姜焼き」を食べられた将吾はご満悦だった。
「今度は海老カレーな」とリクエストした。
海洋との会話を覚えていたか……やっぱり、めんどくさい人だ。
そしてその日の夜、仕事を終えてから、わたしの実家の代々木上原の大山町へ一緒に向かった。
わたしが元麻布の将吾の実家を出た理由も、海洋といた尾山台のマンションから出奔した理由も、簡単には言い表せないことだし、また両親には口が裂けても言えないことだった。
なので、土曜日の朝に将吾が両親に表明していた「彩乃のマリッジブルー」が「正式な理由」として改めて「採用」された。
すると、案の定、父親は静観していたが、母親からはくどくどと叱られた。
……そもそも、わかばちゃんとのデートやわたしのベッドでの自爆テロを見なければ、こんなことにはならなかったんだけどっ。
将吾が「いや、お義母さん、そもそも僕が彩乃とのコミュニケーションをおろそかにしていたので」とわたしを庇うと……
母親は「まぁ、将吾さん、この子のせいなのに…」と眉根を寄せるが、次の瞬間「彩乃っ、こんなにいい人と結婚できるのに、なんてワガママなっ!」と輪をかけて叱られることになる。
……もおっ、将吾ったら、余計なこと言わないでよっ。
わたしがきゅっ、と睨むと、将吾は悪かった、と顔を歪めた。