政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「やっぱり、どこが『政略結婚』だって雰囲気じゃないっすかー」

店主がニヤニヤと笑う。

「おまえ、そんなこと言ったのか?」と、将吾から、ぎろり、と睨まれる。

わたしは肩を(すく)めた。

……もう、今はすっかり「恋愛結婚」でした。

「どこで知り合ったんですか?」

「ガキの頃、一回会って、大人になって見合いで再会」

将吾がしれっと(うそぶ)く。

……ちょ、ちょっと、ウソ言わないでよっ。

「へぇ~、それって、運命じゃないっすかー!」

店主は目を輝かせている。もう、訂正はできない。

……将吾はわたしと「幼なじみ」だったらよかったのに、って思ってるのかな?

大人になった今、初めて出逢えたからこそ、こうして結婚できるのに……


……人って、ないものねだりだ。

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