政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
♡Fikaで女子トークしてます♡
今夜は将吾とお義父さまが接待のため、夕食後にお義母さまであるマイヤさんに誘われてfikaをしてみた。
スウェーデンの人はコーヒー好きが多いのだそうで、恋人はもちろん友人や家族たちとおしゃべりをしながら飲むのが国民的な習慣らしい。
週の途中で明日も仕事があるのに眠れなくなるといけないため、ミルクをたっぷり入れたのだが、さすがマイヤさんは少しミルクを足しただけだ。
「あ…あの…つかぬことを伺いますが」
わたしは気になっていたことを、思い切って訊いてみた。
「前に、スウェーデンの人が北国の人で愛情をストレートに示さないって、おっしゃってましたよね?」
「……いやだ、将吾ったら、まだ出し惜しみしてるの?また、彩乃に逃げられちゃうじゃない」
マイヤさんはふふっ、と笑った。
「でも、将吾はスウェーデンではほとんど住んだことなくて、アメリカ育ちって言ってもいいはずなのにね。でも、アメリカのような多民族国家にいると、却って自分のルーツが浮き彫りになるっていうのもあるわね」
マイヤさんがシナモンロールを一口ちぎって食べた。スウェーデンではkanelbulleといって定番の「fikaのお供」だ。
「わたしの父が家具デザイナーだったんだけど、職人気質の人でね。めんどくさいところが笑っちゃうくらいそっくりなのよ」
マイヤさんが肩を竦めた。
「将吾もその影響でインテリア好きだから、あなたのお部屋の家具も楽しそうに探してたわ。
『フレンチカントリーは扱ってないのか?』ってわたしにも訊いてきたりしてね。
早くから親元を離れて、なんでも自分でやってきてるから、そういう手配には慣れてるし」
あんなに忙しいのに、わたしの婚約指輪も、お部屋の家具も、自分で選んで手配してくれていたのだ。
「外苑前のマンションの家具は厄介かもよ?
将吾のことだから、気に入ったものが出てくるまで妥協しないから、まるで空き家みたいかも」
「あ、ベッドだけはありますっ」
そう言ったとたん、
……お姑さんに対してなんてことをっ!
と気がついて、頬が真っ赤になってしまった。
でも、遅かった……マイヤさんは大爆笑だ。
「絶対、あいつ、必死になって、ベッドばっかりググったんだわよー!」
お腹を抱えて笑い転げている。