政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

わたしが「マリッジブルー」になって将吾の実家を飛び出して尾山台のマンションに逃げ込んだとき、帰国したばかりの海洋がそこにいて、さらにその後そこからもわたしが「脱走」したということは、テンパった海洋が夜中にもかかわらず親戚中に電話をかけまくったことで周知のことだったが……さすがに祖父の三兄弟までは知らせていなかった。

ところが、松濤のおじいさまはどこからか、このネタを耳にしたのだ。

「……で、松濤のおじいちゃまは、なんておっしゃってるの?」

裕太はふぅーっと息を吐いた。

『嫁入り前の娘が、親戚とはいえ、男と一緒に暮らしてたなんて、富多さんのおうちに顔向けができないって言いだしてさ。
……「この結婚は、なかったことにする」って』

「えっ……えええぇーーーっ!?」

わたしの叫び声を聞いて、将吾がバスルームから飛んできた。

「彩乃、どうしたっ!?」

スマホの向こうで、裕太の声はまだ続く。


『松濤のじいさんは、さらに、
「キズモノになった彩乃は、海洋と結婚させる」
って言ってる』

< 462 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop