政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
♡土下座で愛の言葉を叫んでます♡
電話を切ったわたしは、がたがた震えていた。
「彩乃、電話はなんだったんだ?」
震えるわたしをベッドの中に促して、将吾はやさしく抱きしめてくれた。
「……ごめんなさい……やっぱりわたし……とんでもないことしちゃってた……」
将吾の胸に頬を寄せる。もうすっかり慣れ親しんだ、彼のボディーソープの匂いがする。
「松濤のおじいさま……うちの一族のドンみたいな人なんだけど……わたしが海洋と尾山台にいたのがバレちゃって……そしたら、嫁入り前の娘がほかの男と一緒に暮らしてたなんて、将吾のおうちに申し訳ないって言い出して、この結婚はなかったことにする、って……」
「……はぁ!?」
将吾の顔が素っ頓狂になる。
「うちは別になにも言ってないぞ。
むしろ、彩乃のことを気に入っていて大歓迎だ」
「それだけじゃないの。
……『キズモノ』になったわたしを、海洋と結婚させるって」
胸が張り裂けそうな思いが込み上げてきて、将吾にしがみついた。
「大丈夫だ、彩乃。おれがおまえを朝比奈 海洋に渡すはずないだろ?
むしろ……おれの方がずっとおまえをキズモノにしてるじゃないか」
そう言ってニヤッ、と笑う。
「それに、おまえの祖父さんが一族の長じゃないか。あさひフィナンシャルの持株会社の会長なんだから」
将吾は不安を拭い去らせるように、わたしを抱きしめる腕にぎゅーっと力を込めた。
わたしは首を振った。
「確かに松濤のおじいさまは、うちのおじいさまの弟なんだけど……ただ声が大きくて態度がデカいだけなんだけど……なぜか朝比奈の中じゃ一番エラそうにしてるの……」
将吾は鼻で笑った。
「大丈夫だ、心配すんな、彩乃。
……で、そのじいさん、なんていう名前だ?」
「……朝比奈 龍藏」
その名を聞いて、将吾の顔つきがガラッと変わった。
「そうか……あさひ証券の会長か」
眉間にシワが寄り、掠れた声になる。