政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
しかし、松濤のおじいさまの「ムチャ振り」にわたしの父親たちが手をこまねいていたわけではなかった。
わたしも将吾もすっかり愛し合ってるもんだから浮かれて「恋愛結婚」の気分でいるけれども、やはりそれぞれの生家の会社の利害が絡んだ「政略結婚」という「大型プロジェクト」であるから、いくら一族のドンが決めたこととはいえ「はい、そうですか」ってわけにはいかない。
もうすでに、来月の結婚披露宴への招待客からの出欠の返事が届き始めているのだ。
もし、婚約破棄だの、破談だのと、ウワサにでもなったら、せっかくの両グループの提携が頓挫したと思われて、株価にまで影響を及ぼしかねない。
わたしの耳に……つまりは将吾の耳に入るまでになんとかしなくては、とわたしの父親は日参して(実は今日も)松濤のおじいさまを説得していた。
うちのおじいさまもほぼ毎日、電話で将吾の人となりを話してくれているらしい(将吾はおじいさまのお気に入りだから)
だけど、そんなに「いい人」なら、ますます「キズモノの彩乃」と結婚させるわけにはいかないと言われ、日々玉砕しているらしい。