政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「……彩乃ちゃん、仲がいいわねぇ」

松濤のおばあさまが、ほほほ…と微笑まれた。
そのやわらかな物腰は、慶人の母親である清香おばさまがよく似ていらっしゃる。

わたしたちは、あわてて互いの身を離した。

「大地が亜湖ちゃんを連れてきて以来、主人がすっかり気に入っちゃってねぇ。
しょっちゅう亜湖ちゃんに電話するもんだから、大地が怒っちゃって……チャクシンなんとか?っていうのにしたんですって」

……わかった!
亜湖さんが、紗香おばさまによく似てるからだ。

つまり、松濤のおばあさまに似てる、ってことだけど。

「香子おばあちゃま……上條のおじさまが、松濤のおじいちゃまの恋敵にそっくりだったってほんと?」

慶人の結婚式のときに、大地が話していたのだ。

上條のおじさまを見てると、松濤のおばあさまを争った相手を思い出すから、今でもキツく当たるんだとか。亜湖さんのご両親から聞いたらしい。

同じテーブルで話を聞いていた将吾も肯いた。

「あら……どこでそういうお話になったのかしら?」

松濤のおばあさまは首を(かし)げた。

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