政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「今すぐ……おまえを抱きたい」
そう言って、わたしの耳を甘噛みする。
……まずい、まずい、まずい。
「なに言ってんのよ。もうすぐ、係の人が呼びに来るよ」
わたしは将吾を宥める。
……披露宴が終われば、いくらだって「相手」をしてあげられるのに。二次会までには、ちょっと時間があるから。
「このウェディングドレスの彩乃を、思いっきり……犯したい」
光沢のあるシルバーのタキシード姿の将吾は、先刻までチャペル内の女性たちのため息を誘っていた。
……あぁ、わたしのダンナさまは、色気が半端なくタダ漏れなんですけれども。
わたしたちは、松濤のおじいさまの「許し」を得たら(おじいさまの気が変わらないうちに)速攻で入籍していた。