政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「髪……着物のときとか会社のときとか、ひっつめたとこしか見たことないけど、下ろすとどんな長さだ?」
将吾さんはわたしのアップにした髪を、大きな手のひらでふわっと撫でた。
「せ、背中くらい」
やっぱり、背が高いな。五センチのヒールを履いているから今のわたしは軽く一七〇センチを超えるが、彼の顔を見るには上目遣いになる。
「ふーん、じゃあ、大橋と同じくらいか」
……なんか今、いがっ、としたぞ。
なぜ、大橋さんが基準?
彼女の「女の命」な長いキレイな黒髪が、彼女のわたしを挑発するような微笑みが、心をよぎる。知らず識らず、渋い顔になる。
将吾さんはわたしが手にしていた下着の袋をすっと取って、シャワールームへ入って行った。