政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
Chapter 4
♡弟にも政略結婚を心配されてます♡
今日は十二月二十三日(祝)
明日のクリスマスイブから明後日のクリスマスにかけて、にわかクリスチャンが増える。
しかも、今年は二十四日が日曜日ときてるから、世間で二十三日からお出かけするんだろうなぁ。
「……あれ?姉貴、なにしてんの?」
八歳下の弟、裕太がディーゼルのダッフルコートとノースフェイスの四角いデイパックを手にしてリビングへ入ってきた。幼稚舎上がりのK大生だ。
本人曰く、『内部進学でも経済学部への合格はめちゃくちゃ大変だから、おれはがんばって大学に入ったっ!』ということらしいが……
「なにしてるって、フルーツたっぷりのロールケーキ食べて、美味しいお茶飲んで、まったりしてるのよ」
わたしは、大阪に住んでる紗香おばさまから届いたモンシェールの堂島アイスロールを食べながら、ルピシアのルイボスアールグレイを飲んでいたのだが……あぁ、極楽。
「姉貴、おれの記憶が確かだったら、ついこの間、婚約してなかったっけ?」
裕太がコートとデイパをわたしの対面のソファに置き、自分もその隣に座った。
ノースフェイスのデイパには、きっと彼女とのお泊まりセットが入っているはず……
朝比奈一族の男たちは、大学時代にこれでもかっ!というくらい遊ぶ。こいつにもその血が湧き出てきたに違いない。
裕太はわたしによく似ていて、オリーブブラウンのウェーブがかった髪、ヘイゼルの瞳、目鼻立ちのはっきりした顔。そして一八〇センチを超える長身。
黙っていても、向こうから女の子はやってくる。
今夜を過ごす相手とも、いつまで続くのか……