政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
『だから、明日は地味な色のスーツはダメだぞ』
といっても、わたしのスーツはブルックスブラザーズやニューヨーカーのような縫製は良いが質実剛健なトラッドなもので、色も黒・紺・茶・グレー系統ばかりだ。
『髪もひっつめるんじゃなくて、下ろせよ』
えーっ、わたしの髪はちゃんとブローしないと、広がってライオンの鬣のようになるのに。
「……無理よ。とても秘書には見えない姿になるって」
それどころか、普通の会社員にもね。
『じゃあ……おれの部屋で着替えて支度すればいい』
……おれの部屋?
「あ、プライベートルームか。
……それなら、着替えを持って行く」