政略結婚はせつない恋の予感⁉︎
「将吾、出会って間もないあなたにもう心を許してるわ。あなたのこと、同性の友達並みにぞんざいに扱っても大丈夫だ、って安心してる。
女の子に対してはいつも紳士的なあの子が、そんなふうな扱いをするのを初めて見たわ」
お義母さまはやわらかく微笑んだ。
TOMITAの北欧家具を扱う子会社の社長をしている彼女は、世界中を駆け回るバリバリのキャリアウーマンだそうだ。
だけど、今は完全に「母の顔」をしていた。
……いやいやいや。
わたしのことを「女の子」として見ていない証拠じゃないでしょうか?
「でも……覚悟しといてよ」
お義母さまはニヤリと笑った。
「あいつの執着心と独占欲は鬱陶しくて、めんどくさいわよー」
……そういえば、「さそり座の男」だったな。
「ほしいと思って、一旦手に入れたものは、絶対に、手放さないから」
ふふふ…と楽しそうにお笑いになる。
「だから、将吾がなにを言おうと気にしないで」
わたしはとりあえずこっくりと肯いておいた。
波風は立たせたくない派なので。
「……それからね。わたしは、お見合いのときのお着物、とってもあなたに似合っていて素敵だと思ったわ。今日だって、あなたのあまりの綺麗さに、みんな目を見開いてたのよ」
そして、パチンとウィンクした。
さすがスウェーデンの血を引いているだけあって、不自然さはまるでなく、すこぶるカッコいい。
「……自分が似合うものに、自信を持ちなさい」