か・て・き・ょ♥️
私が目を覚ましたのは丁度、先生がお家を訪ねて来た時だった。

チャイムの音で目が覚めたのだ。



時計の針は午前1時を指している。




ガチャ




「…ごめんごめん、友達に誘われちゃってさ」



そう言い家に上がった佐野先生からはアルコールの匂いがした。



「やーばい、結構飲まされたわぁ」



まだ歩けるものの、フラフラしている。




「もう…。しっかりしてください!とりあえずリビングまで運びますね」



きっと、普通の家庭教師なら教え子の家にこんな深夜にお仕掛けにきたりなんかしない。

そんなことを考えると、何だか少し微笑ましくなった。



「くすっ」



と、思わず笑ってしまった時、



「なんだぁ、笑いやがってぇ」


「ひゃっ!」



リビングのソファに座らせたばかりの佐野先生が急に私の腕を掴んできた。




「は、離してくださいっ」


「……」


「離してってっ」


「………」



私は佐野先生の手を振り解こうとするが、いっこうに離れる気配はない。



「………ずるい」




今朝、私にあんな事を言っておきながら。

私は先生を好きになっちゃいけないんでしょ…?


それなのに…



それなのに………
< 9 / 95 >

この作品をシェア

pagetop