『ツインクロス』番外編
「嬢ちゃん、悪いがちょっと顔貸してもらおうか」
ある日。夏樹が一人で歩いていると路地の横から数名の柄の悪い連中が一斉に出て来て取り囲まれた。
声を掛けてきたゴツい男が多分その中のボス的存在の奴なのだと夏樹にはすぐに判った。
だが、どうしても絡まれる心当たりがない。
(見たこともない連中だな。年齢も少し上っぽいかな?)
明らかに高校生ではない貫禄の者もいる。
(…絶対知らない奴等だ。何でだろう?)
夏樹が冷静に取り囲んでいる面子を伺いながら考えていると。
「ある女に頼まれたんだ。少し位乱暴にしても構わないから連れて来いと、な。だが、声を上げたりせずに素直に言うことを聞きさえすれば、とりあえず手荒な真似はしない」
その男が有無を言わせぬ眼力で夏樹を見やった。
「…女?」
尚更、心当たりがない。
「人違い…とかでは?」
とりあえず穏やかに聞き返すと。
「いや、アンタだよ」
と、逃げられないように腕をガッシリと掴まれてしまった。
不穏な空気を感じながらも、夏樹はとりあえず大人しく連れられて行くことにした。
今ここで、こいつらを撒くことは簡単かも知れない。
だが、相手が確実に自分を指定してきていて、尚且つこうして待ち伏せをして出て来た以上は、またいつだって同様のことが起こり得るということだ。
今逃げれば相手を逆上させ、次はもっと強引な手に出てくるかも知れない。
そんな面倒ごとは御免こうむりたいし、何より相手の女が誰なのかが気になった。
ある日。夏樹が一人で歩いていると路地の横から数名の柄の悪い連中が一斉に出て来て取り囲まれた。
声を掛けてきたゴツい男が多分その中のボス的存在の奴なのだと夏樹にはすぐに判った。
だが、どうしても絡まれる心当たりがない。
(見たこともない連中だな。年齢も少し上っぽいかな?)
明らかに高校生ではない貫禄の者もいる。
(…絶対知らない奴等だ。何でだろう?)
夏樹が冷静に取り囲んでいる面子を伺いながら考えていると。
「ある女に頼まれたんだ。少し位乱暴にしても構わないから連れて来いと、な。だが、声を上げたりせずに素直に言うことを聞きさえすれば、とりあえず手荒な真似はしない」
その男が有無を言わせぬ眼力で夏樹を見やった。
「…女?」
尚更、心当たりがない。
「人違い…とかでは?」
とりあえず穏やかに聞き返すと。
「いや、アンタだよ」
と、逃げられないように腕をガッシリと掴まれてしまった。
不穏な空気を感じながらも、夏樹はとりあえず大人しく連れられて行くことにした。
今ここで、こいつらを撒くことは簡単かも知れない。
だが、相手が確実に自分を指定してきていて、尚且つこうして待ち伏せをして出て来た以上は、またいつだって同様のことが起こり得るということだ。
今逃げれば相手を逆上させ、次はもっと強引な手に出てくるかも知れない。
そんな面倒ごとは御免こうむりたいし、何より相手の女が誰なのかが気になった。