『ツインクロス』番外編
(こんな連中に命令出来る女なんて…。いったい誰なんだろう?)
どうしても分からなかった。
『冬樹』であった頃ならいざ知らず…。
そもそも『夏樹』として関わった人物など、未だ僅かに数える程しかいないのだから。
(考えられるのは…。高校?かな?)
自分が知らなくても女子高に通っている以上、学校には確かに女が大勢いるが。
(でも別に目立たず大人しくしてるし、誰かの反感を買う程何もしていないと思うんだけど…。いや、そうでもないか…?)
自信がなくなってきた。
だが、とりあえずその人物に会ってみないことには分からない…と、夏樹は腹を括った。
「例の女、連れて来たぜ」
男は自分たちが普段溜まり場にしている廃ビルの一室の扉を開けると、足を組んで椅子に腰掛けながら、スマホをいじっている女の後ろ姿に声を掛けた。
「そう。ありがと」
唯花は振り返ると鮮やかに笑った。
「どうだった?少しは怯えて泣いたりした?」
「いや…。あの女、相当肝据わってるぞ。俺等が出て行っても動揺すらろくに見せねぇ」
実際、只者じゃない。そう思っていた。
見た目通りのただの可憐な少女ではなさそうだ。
だが、男はそれ以上のことは何も言わなかった。
下手に他の女のことを口にして、彼女にへそを曲げられては敵わないからだ。
唯花は、男の話に不満そうに首を傾げた。
「そう。つまらない子。少しは泣き叫んだり怯えたりすれば、こちらの気も晴れるのに…」
そうして口を歪めて小さく笑うと、立ち上がった。
どうしても分からなかった。
『冬樹』であった頃ならいざ知らず…。
そもそも『夏樹』として関わった人物など、未だ僅かに数える程しかいないのだから。
(考えられるのは…。高校?かな?)
自分が知らなくても女子高に通っている以上、学校には確かに女が大勢いるが。
(でも別に目立たず大人しくしてるし、誰かの反感を買う程何もしていないと思うんだけど…。いや、そうでもないか…?)
自信がなくなってきた。
だが、とりあえずその人物に会ってみないことには分からない…と、夏樹は腹を括った。
「例の女、連れて来たぜ」
男は自分たちが普段溜まり場にしている廃ビルの一室の扉を開けると、足を組んで椅子に腰掛けながら、スマホをいじっている女の後ろ姿に声を掛けた。
「そう。ありがと」
唯花は振り返ると鮮やかに笑った。
「どうだった?少しは怯えて泣いたりした?」
「いや…。あの女、相当肝据わってるぞ。俺等が出て行っても動揺すらろくに見せねぇ」
実際、只者じゃない。そう思っていた。
見た目通りのただの可憐な少女ではなさそうだ。
だが、男はそれ以上のことは何も言わなかった。
下手に他の女のことを口にして、彼女にへそを曲げられては敵わないからだ。
唯花は、男の話に不満そうに首を傾げた。
「そう。つまらない子。少しは泣き叫んだり怯えたりすれば、こちらの気も晴れるのに…」
そうして口を歪めて小さく笑うと、立ち上がった。