『ツインクロス』番外編
そうして、薄暗い部屋に二人だけが残される。
(いったい…何が、目的なんだろう)
何処か前に会った時と雰囲気の違いすぎる唯花に夏樹は警戒していた。
すると、唯花がゆっくりと口を開く。
「久賀くん、元気?」
「…えっ?」
思わぬ人の名前が出てきて戸惑う。
「ふふ…実は、この前…私、久賀くんとあなたが歩いているところを偶然見掛けたのよ」
「………」
「仲良さそうに楽しそうに歩いてた。あなた野崎くんの妹さんよね?ってことは久賀くんと幼なじみってことよね?…仲良いハズだわ」
最後の部分を吐き捨てるように言うと、ギッ…っと睨み付けてくる。
「あなた、久賀くんの何?もしかして後から出てきて、すっかり彼女気取りなの?」
(ああ、そうか…)
夏樹は察した。
(唯花ちゃんは、まだ雅耶のことが好きなんだ…)
唯花が発したその言葉には、すごく棘があって。
『面白くない』という感情を隠すことなく瞳に表していて。
彼女がまだ雅耶のことを好きなんだということを理解した。
二人がいつ、どんな別れ方をしたのか自分は知らない。
雅耶は「自分の気持ちに正直になっただけ」と言っていたけれど。
(唯花ちゃんは、納得…してないんだ…)
その想いをぶつける相手に、見も知らぬ『夏樹』を選んでしまう程。
「あなたは知らないかもしれないけど、私と久賀くんは付き合っていたのよ。いつも一緒に帰って、色々な話をして…」
知ってる。
そんな二人を自分はいつも近くで見ていたから…。
(いったい…何が、目的なんだろう)
何処か前に会った時と雰囲気の違いすぎる唯花に夏樹は警戒していた。
すると、唯花がゆっくりと口を開く。
「久賀くん、元気?」
「…えっ?」
思わぬ人の名前が出てきて戸惑う。
「ふふ…実は、この前…私、久賀くんとあなたが歩いているところを偶然見掛けたのよ」
「………」
「仲良さそうに楽しそうに歩いてた。あなた野崎くんの妹さんよね?ってことは久賀くんと幼なじみってことよね?…仲良いハズだわ」
最後の部分を吐き捨てるように言うと、ギッ…っと睨み付けてくる。
「あなた、久賀くんの何?もしかして後から出てきて、すっかり彼女気取りなの?」
(ああ、そうか…)
夏樹は察した。
(唯花ちゃんは、まだ雅耶のことが好きなんだ…)
唯花が発したその言葉には、すごく棘があって。
『面白くない』という感情を隠すことなく瞳に表していて。
彼女がまだ雅耶のことを好きなんだということを理解した。
二人がいつ、どんな別れ方をしたのか自分は知らない。
雅耶は「自分の気持ちに正直になっただけ」と言っていたけれど。
(唯花ちゃんは、納得…してないんだ…)
その想いをぶつける相手に、見も知らぬ『夏樹』を選んでしまう程。
「あなたは知らないかもしれないけど、私と久賀くんは付き合っていたのよ。いつも一緒に帰って、色々な話をして…」
知ってる。
そんな二人を自分はいつも近くで見ていたから…。