いつか、らせん階段で
ディナーを済ませて部屋に戻り、テラスに出ると、たくさんの星が瞬いていた。

「尚也、星がきれい!」
テラスから声をかけると、ワイングラスを2つ持った尚也が出てきた。

私に1つ渡して尚也も空を見上げた。
都会の夜空の3倍以上は星が見えるんじゃないだろうか。

「おー、これはすごいね」

「尚也、これ何?赤ワイン?」
渡されたグラスには半量ほどの赤い液体。

「ん、シェリー酒。夏葉が飲めるように甘いやつ選んだから飲んでごらん」

うん、頷いて少し口をつけると本当に甘い。それにいい香り。

「これすごく飲みやすくておいしいかも」
今度は大きくごくりと飲んだ。

「夏葉、これアルコール度数は低くないから飲みすぎるなよ。調子に乗ってるといつぞやのようになるぞ」
尚也は眉をひそめた。

うっ、痛い所を突かれた。
先月、職場の先輩の送別会で飲みすぎて失敗したんだっけ。
尚也に連絡して迎えに来てもらったことがあった。
さっきの食事中にも赤ワインを飲んだし、この1杯でアルコールは終わろう。

でも、本当にいい香り。
クンクンと香りを味わっていると「夏葉」と尚也に呼ばれた。

ん、と顔上げたら尚也は私の目の前でシェリー酒をごくりと飲んだ。

あ、自分ばっかりずるいと思いながらも尚也のごくりと飲んだときの目の前の喉ぼとけの動きがセクシーでじっと見つめてしまった。

尚也はニヤッと笑うと、もうひと口シェリー酒を自分の口に含んで素早く私にキスをした。
尚也の口から私の口の中にシェリー酒が流れ込む。
なんて甘く甘く、どこまでも甘美なキス。

「夏葉、夕食前の続きさせて」

唇が離れたら尚也が私の耳元で言った。

「紳士はわざわざそんなことレディーに聞かないものよ」と尚也の耳に軽くかみついてやった。

フッと笑った尚也は私を抱き上げて天蓋付きのベッドに運んだ。

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