いつか、らせん階段で
帰り道で尚也に聞かれた。
「夏葉、来週の休みは取れたんだよね」
「尚也が実家から戻って旅立つ前の3日間でしょ?取れたよ」
「そっか、良かった。発つ前に夏葉とゆっくりしたかったんだ」
尚也の顔は笑っていたけれど、どういうつもりなんだろう。
あなたは結婚するんでしょ。
最後の火遊びにしては私にも奥さんになる人にもずいぶん失礼だ。
私は曖昧に微笑んだ。
昨晩でやっと私も私なりの別れの決心がついた。
さよなら、これが最後のデートだね。