いつか、らせん階段で

朝、目が覚めると尚也のマンションだった。

尚也が来てからリーフで気持ち良く飲んだことは覚えている。
その後の記憶はない。
尚也が連れて帰ってくれたんだろうけど、いつもの私の部屋じゃなくて尚也のマンションなんだ。

隣には尚也が気持ちよさそうに眠っている。
広くて大きいサイズのベッドなのに二人でくっついて眠っていたらしくて何だか笑える。
もっと広々と使えばいいのに。

尚也のさらさらした髪を撫でたくなり、手を伸ばしてふと左手の違和感に気が付いた。
私の左手の薬指に指輪があった。
流線型のラインにダイヤモンドが何個も付いてる・・・。

指輪を凝視していると目覚めた尚也の視線に気が付いた。

「責任とらせてもらった」

笑う尚也は今日も朝からカッコいいけどね。
確かに夕べは「最後まで責任とる」って言ってた。
でも、そういうことなの?

私も笑えてきた。

「ナマモノなので返品できませんけど、覚悟はありますか?」

そういう私に「え!本当?夏葉、結婚してくれるの?」とライトブラウンの瞳を見開いた。

「はい」
しっかりと頷く私に尚也は
「絶対返品しないから」とギュッと抱きしめてキスをした。



私はどうやらこれからずっと尚也の隣にいていいらしい。

再会してからいろいろと誤解があったことはわかったけれど、私は私に自信がなかった。
なんだかんだ言っても、また置いていかれるんじゃないかって心のどこかで思ってた。

でも、やっぱり尚也のそばにいたい。
何をするにも尚也のそばがいい。
今まで言えなかったわがままを言って、尚也を振り回してやるのもいいかもいいかもしれない。
きっと、大人になった尚也はクスリと笑って許してくれるだろう。

ニヤニヤしていたら尚也に「何か企んでるな」とすぐにバレた。

「そうね」

私は朝から尚也に熱いキスをした。


< 43 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop